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地味だが超重要!これが正しい歯ブラシの使い方【完全版】

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新型コロナウィルスの蔓延を受けて、当診療室でも診療規模を縮小し、予約は1~2ヶ月の延期をお願いしておりました。

心配なのはメンテナンスが中断している方。当初、正しい歯ブラシの使い方をお教えしていたはずですが、もうすっかり忘れて自己流に戻ってしまった方がほとんど…

そこで思い出してほしい基本的なことを、ここに【完全版】としてまとめてます。

新型コロナウィルスやインフルエンザ予防には、正しい歯ミガキが必須です。この機会にぜひ見直しをしましょう!

スタートポジションを決める

まず正しい位置に歯ブラシを置き、そこから動かし始める事が最も重要です。スタートポジションを決めるということです。

これができていないと、いくら歯ブラシを動かしていても、歯垢はまったく落ちません。磨いているつもりなのに、磨けてない原因はこれです。

そうそう、その前に、歯ブラシは真っ直ぐなものを用意してありますか?曲がっている歯ブラシは以下の説明が当てはまりませんので、ご注意ください。詳しくはこのビデオをご覧ください。

[以下の写真は鏡で自分を見た時用に、左右を反転してあります]

1-1 左下の奥歯を磨く場合を例に、写真で解説しましょう。外側(頬側=ほっぺた側)を磨く場合はのスタートポジションはこんな感じです。歯ブラシの先(通称:つま先)から根本(通称:かかと)まで、均等に歯に接していることが重要です。毛の方向は45度下になります。

1-2 これではダメですよね。歯ブラシのかかとが歯から離れています。

1-3 こちらは、かかとしか当たっていませんね。もちろんだダメです。

「鏡で歯をよく見て確認してください」というのは、こういう状態を見てくださいという意味です。

それから、ただ口を開けるだけではよく見えませんから、かならず左手で唇を引っ張って、照明を入れて確認するようにしましょう。

だいたい一ヶ所に5回くらい当たれば良いのですが、1回目は良い位置からスタートできても、2回目3回目とどんどんズレて行きやすくなります

ですから慣れないうちは必ず一回一回のスタートポジションを確認してから動かし始めるようにしましょう。

毛先をきちんと歯間に押し込む

2-1 スタートポジションが決まったら、歯ブラシの毛先が歯間に入るように押し込みます。この写真が正しい状態です。

2-2 押し込みが甘いとは、このような状態のことです。これでは歯間は磨けませんね。

2-3 見る方向を変えると、こうなります。これが正しい押し込みの状態です。

2-4 毛の押し込みが甘いとは、この写真のような状態です。理屈は簡単ですよね。

毛束が歯の上に乗らないように

3-1 スタートポジションでもう一つ重要なのは、毛束が歯の上に乗らないようにすることです。場所によっては仕方が無いこともありますが、できるだけ乗らないように。でないと磨く能率が落ちるだけでなく、歯ブラシの寿命を著く短くさせてしまいます。

ここまでできたら、つまりスタートポジションが決まったら、はじめて歯ブラシを動かします。

歯ブラシを回転させ、毛先が歯間を通過するように動かします。これがローリング法と呼ばれているもので、最も基本的な磨き方になります。

(最近の歯科衛生士学校ではこの方法を教えません。ナゼでしょうね?)

内側を磨くときは歯ブラシの首が前歯の真ん中に当たる

4-1 上記までは歯の外側(ほっぺた側)の当て方の説明でしたが、ここからは歯の内側(ベロ側)の当て方です。理屈は全く同じで、歯ブラシのつま先からかかとまで、均一に歯に当たるようにします。すると歯ブラシの首は、だいたい前歯の真ん中に当たるはずです。これが超重要ポイントです。

4-2  歯ブラシのつま先しか歯に当たっていません。すると歯ブラシの首は、前歯の真ん中から離れてしまいますから、間違いだと解ります。これでは磨けませんね。

上の奥歯外側はもう片方の手で唇をめくってよく見る

上記までは下の歯での説明でしたので、よく見えるはずでした。

しかし上の歯になると、見えない部分が増えてきます。

そこで、歯ブラシを持っていないもう片方の手で唇をめくって、歯が見えるようにします

以下は、左上を磨く場合で説明しましょう。

5-1 左上の外側(ほっぺた側)を磨きます。正しい当たり方はこうです。意外に歯ブラシの柄を上げる形になりますので、緑の矢印のように歯ブラシの柄の下側に歯が見えるのが正しい位置になります。この時、顔を上にあげて見ようとしまいがちですが、そうすると手も上げなくてはならないので苦しくなるだけです。顎を引いた方が楽にできます。歯ブラシを右手で持っている場合は、左手で唇をめくって、奥歯まで見えるようにしましょう。

5-2 この写真、一見正しいようですが、歯ブラシの柄の上に歯が見えますので、もっと上げたほうが良いです。

5-3 こちらも悪い例。歯ブラシの毛が当たっていませんが、このとき歯ブラシの柄が下がっていることが解ります。もちろん左手で唇をめくらないと見えません。

上の奥歯内側は一番難しいが

さて最難関が、上の奥歯の内側です。ここはどうやっても見ることはできません。

しかし上記の4-1と同様の考え方を当てはめれば、簡単にできます。

6-1 左上奥歯の内側に歯ブラシを当てています。と言っても見えませんよね。しかし前歯は見えます。ポイントは上記4-1と同じ理由で、前歯の真ん中に歯ブラシの柄が当たることす。ここがスタートポジションになります。

6-2 見方を変えてみましょう。左上奥歯内側にキッチリと歯ブラシが当たっていますが、このときほとんどの方は、前歯の真ん中に歯ブラシの柄が当たっています。つまり、前歯の真ん中から柄が離れてしまったら、歯ブラシの毛先は当たっていないことになります

6-3 悪い例です。歯ブラシの柄が、前歯の真ん中から離れています。この状態では、奥歯に毛先が当たっていないはずです。

6-4 見方を変えてみました。ご覧の通り、前歯の真ん中から歯ブラシの柄が離れているときは、奥歯に正しく毛先が当たっていません。この状態から歯ブラシを動かしても、何の意味もありませんね。

6-5 こちらも悪い例です。前歯の真ん中から歯ブラシの柄が離れています。

6-6 同様に見方を変えてみました。もう説明の必要はないですよね、ダメダメです。

ということで、上の奥歯の内側は見ることはできませんが、歯ブラシの柄が前歯の真ん中から離れていたら、奥歯にはほぼ当たっていないことが確定です。

鏡をよく見てスタートポジションが決まってから、はじめて歯ブラシを動かしましょう。

前歯の内側は歯ブラシを縦にして一本ずつ

以上の方法は、すべて歯ブラシの毛束の側面を使いました。

しかしこの方法では当たらない場所があります。それが前歯の内側です。

そこで前歯の内側は歯ブラシを縦にして、毛束の付け根(かかと)を使うことになります。

7-1 下の前歯を例にします。左手で唇をめくって見てみましょう。前歯6本(左の犬歯から右の犬歯まで)は、それぞれ違う方向を向いています。歯間に毛束を通過させるのが目的ですから、ここは一本ずつ歯ブラシを当てる角度や動かす方向が異なることをになりますね。

7-2 真ん中の歯を磨いてみましょう。歯ブラシはこのように縦に入れます。この状態から前にまっすぐ動かせば、歯間に毛束が通過します。

7-3 左の犬歯(糸切り歯)内側を磨く場合は、このような当て方になります。意外に横を向きます。左手で唇をめくって、歯を良くみないと方向が定まりません。また見づらいからと顔を左に向けると、手もさらに左に持っていかなくてはならないので、苦しくなります。少し右を向いた方が楽に当てることができます。

7-4 こちらが悪い例。向きが合っていません。犬歯はは意外に横を向いていますので、よく見てそれに合わせましょう。もちろん人によってこの方向は違いますので、歯科衛生士といっしょに確認します。急がず、一回一回必ず歯ブラシの方向を確認してから動かすようにしましょう。

前歯の内側は歯ブラシのかかとを使う

8-1 前歯の内側を磨く時は、歯ブラシの毛束のかかとしか使いません。これがスタートポジションです。

8-2 歯ブラシを柄の方向に引いて、毛束を歯間に通過させます。歯ブラシを動かすのは5mm程度にしましょう。全部出してしまうと唾やプラークが外に飛んで、感染源になってしまいます

ローリング法ができたらバス法へ

以上は「歯間に毛束を通過させるローリング法」の説明でした。

これができたら、次は歯周ポケットの中を磨くためのバス法をやってみましょう。

やり方は簡単で、上記のスタートポジションはそのままで、歯ブラシを前後に(前歯の場合は左右に)5mm往復させるだけです。

スタートポジションで注意するのは、毛先が歯肉の方向45度向きになっているかです。

5mmですから、ストロークは意外に小さいです。クチュクチュ音がしたら、だいたい動かしすぎですので、注意しましょう。

歯間ブラシ・フロス・タフトブラシ

お疲れ様です!

しかし…これで終わりじゃないんですね、完全版なのに。

以上は歯ブラシ一本でできる範囲の説明でしたが、歯間を通過させると言っても完全に貫通するわけではありません

そこで必要になるのが、歯間ブラシやフロスという糸です。最終的にはこれらを使わないと、予防になりません。

また一番奥の歯の奥の面や、歯並びが乱れている部分はなかなか毛先が届かないものです。そんな部分には、小さなタフトブラシというのがとても便利です。

ただし、これらはすべて、通常の歯ブラシでローリング法やバス法で磨き終わって、最後に使うようにしましょう。できるだけ全体をきれいにしてから使わないと、プラークを押し込んでしまうような事になり、能率が悪化するからです。

これらの使い方や適用部位は一人一人でまったく違いますので、必ず歯科衛生士に確認してもらいましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

ちょっとたいへんだったかもしれませんね。練習しはじめは、10分以上はかかるものです。

しかし歯磨きは人生の終わりまで毎日数回やることですから、必ず慣れて5分くらいで終われるようになります。

ただし、くれぐれも自己流に戻らないよう、です。

今回のポイントをまとめると、以下のようになります。

  1. 片手で唇をめくり、よく歯を見ながら歯ブラシを当てる
  2. 必ずスタートポジションを決めてから動かし始める
  3. 奥歯の内側のスタートポジションは、前歯の真ん中に歯ブラシの柄が当たる
  4. まず毛束が歯間を通過する様に動かす
  5. 一回一回を確実に行う

歯ブラシは、私たちが定期的に確認していないと、すぐ自己流に戻り「磨いているつもりでも、ぜんぜん磨けていない」状態が頻発します。ですから必ず定期的に歯科衛生士に確認してもらうようにしましょう。

新型コロナウィルスの蔓延防止のために治療やメンテナンスが延期になっている方は、特にお気をつけになられてください。

追記:まとめビデオ

上記の手順をビデオにしました。ぜひご活用ください。[2020-12-02]

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