インプラントのすべてがわかる本
「まえがき」より
今この本を手にしたあなた、そこは本屋さんでしょうか?もしそうでしたら、この本の周りには多くの歯科関係の書籍が並んでいることでしょう。タイトルに「インプラント」とつく本も多く、どれを一冊選んだらよいのか迷っておられる姿が目に浮かびます。
ある本はインプラントの有効性を実例とともに紹介し、いかにインプラントがすばらしい治療法であるかを訴えています。またある本はインプラントは危険な治療であり、あたかも悪徳歯科医師が行う治療であるかのような紹介がされています。そうでなくてもインプラントなど不要、入れ歯で十分といった意見も多く、いったいどれを信じたらよいのか解からない事でしょう。
この本は結論から言えばインプラント治療に賛成しています。なぜならインプラントには、入れ歯やブリッジなど従来の治療方の問題点を一気に払拭するからです。ただしそれには様々な条件があり、無理にお勧めするものではありません。入れ歯やブリッジが推奨されることもたくさんあります。
私たちの診療室にはインプラントの相談はもとより、炎症がおきたり破損したりのトラブルで来られる患者さんが少なからずおられます。「こんなはずではなかった」「一生持つと言われた」等の訴えも少なくなく、やはりインプラント治療は良くないのではという疑問を抱かれています。もちろんそんな事はないのですが、これらのトラブルを日常的に診ている私たちにとって、やはり情報が最後まで正確に伝わっていないなというのが正直なところです。つまり治療が終わった後に何が必要なのか、その具体的な方法がほとんど示されていないのです。
たとえばインプラントを推進する書籍の多くは、治療を決断するまでの疑問には良く答えています。しかしその後のメンテナンスやトラブルの可能性について多くは触れていません。インプラントに限らず、長い一生の中でトラブルと無縁と言うのは考えられないのにです。ですからこの本はインプラント治療が終わった後の、さらに高齢社会とどうかかわって行くのかという部分にまで踏み込んだ現実的なお話をしています。
一方インプラント治療を選択せず、無理な設計をせざるをえなかった入れ歯やブリッジを使用している方も大勢おられます。そのような方達は様々な負担が歯や骨にかかり、結局短期間で壊れてしまい、さらに自分の歯を失い続ける事になります。この悪循環を断ち切るには、やはりインプラントしかないのです。
私は歯科医師として臨床の最前線で20年以上診続けてきました。特に専門分野はありませんが、あえて言うなら「再治療・再々治療」の専門医です。歯の治療とはそれほどトラブルが多く、実際私達の所へ訪れる患者さんの9割はそのような方々です。しかもその状況はインプラント治療がこれほど普及した今日も、20年前と何ら変りないのです。
そしてこの異常な事態が日本経済を圧迫し、高齢社会をさらに厳しい物にしている事に誰もが気づかねばなりません。この本は表題こそ「インプラント」という名前がついていますが、広い意味での健康書であり、病気や医療経済のあり方を世に問うものでもあります。なぜなら、それ自体がインプラント治療を長持ちさせる事と大きな関連があるからです。
どうか皆さまも本書を読みながら、未来のあなたにとって必要な事は何なのかをいっしょにお考えいただければと思うのです。
平成19年6月
吉田歯科診療室 デンタルメンテナンスクリニック
代表 吉田格

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