危険な経営ブーム・2
経営コンサルタントは他業種での成功例やもっともらしい方法論を持ち出し、自由診療率50%とか月間売上1000万円などの目標を設定してゆきます。もちろんそれ自体は何も悪い事ではないのですが、自由診療は保険診療と考え方や治療レベルがまったく違いますので、長年保険診療だけをやっていた歯科医院がいきなり患者さんの納得の行く技術の自由診療を提供できるわけではありません。
コンサルタントは経営手法を教えてくれても、自由診療の考え方や技術までは教えてくれません。まして患者さんの未来の事までを考えているコンサルタントはおられないと思います。もちろんコンサルタントにそこまで要求するのもどうかとは思いますが。
材料や見た目の差別化は患者さんに解りやすく説明も簡単ですが、自由診療とはそういいものではありません。コンサルタントも自由診療とは見た目や材料の差だとしか思っていない人が多いのでしょう。それでいて自由診療を増やせとは、なんとも無責任な話です。経営という数字しか見てないとこういう事になるのです。
誤解しないでいただきたいのですが、経営コンサルタントの仕事はその歯科医院の目標を考える手伝いをしたり、従業員をまとめる知恵を出し、良質な医療を提供する場を創るお手伝いをする事などであり、自由診療を勧めるテクニックを教える事はその中の一部分にすぎません。
経営力はもちろん必要です。どんなに優れた技術も、人の目に留まらなければ世の中の役には立ちません。「技術はあるのに営業力がないばかりに苦境に立たされている」これは町工場に対してよく使われた言葉ですが、歯科医院も似たような状況にあります。ただ日本の歯科医院は健康保険という「安い・手軽」という訴求力のあるビジネスモデルを最初から国から用意してもらっていたため、問題が表面化する事はありませんでした。
確かに今までの歯科医院とは、看板だけ出しておけば自動的に患者がやってくるという、たいした営業努力ををぜずとも成り立ってきた甘い世界でした。 一般的な会社ならどこでもやっている経営理念や目標を設定することを、個人経営であるほとんどの歯科医院は全く行ってこなかったのです。またそんな中でも成功してきた方々が業界のトップに立ってきたのも不幸な事です。
しかし時代は変わりました。あまりに理不尽な制約の多い保険診療では患者さんを幸せにする事ができない事は普通の歯科医師なら誰でも知っています。このままでは患者さんだけではなく自分自身も危ない、焦っている歯科医院が多いのです。
おそらくこれからマスコミで歯科の自由診療の話題が取り上げられる機会が増える事でしょう。しかしマスコミには常に表面的なウケが重要視され、本質的な報道がされるとはなかなか思えません。そのような情報に翻弄されないよう、まずあなたの担当の先生と自由診療は何がどのように違うのかを良く聞いていただく事を強くお勧めいたします。その先生が安易な経営セミナーに翻弄されていないかを見抜くのは、あなたの眼しかないのです。

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