- Q6:神経をとった歯に白い冠を被せる治療をします。気をつける事はありますか?
神経をとってしまうと、その歯を一生持たせる事はなかなか難しい事が解っています。
これは将来再治療になる可能性が高い事と、その再治療の成功率が意外に低い事が原因です。したがって治療の質やメンテナンスには特に注意する必要があります。
前歯という良く見える場所の治療なので見た目ばかりを気にしやすいのですが、外見は後からいかようにも変更できますので、まず再治療が難しい中身にどのような治療が行われるかに注意してください。
最初に歯内治療(根管治療)
という、根っこの治療が正しく行われているかを確認しましょう。歯内治療は健康保険では最も不採算であるため、非常に簡単な治療で済まされている例が散見されます(*1.2)。
この歯内治療が不完全だと、いくら上に良い物を被せても将来的に痛みが出たり腫れてきたりし、抜歯を余儀なくされます。
どのような治療が行われ結果はどうだったか、将来不安はどの程度か、必ずレントゲンを見せてもらいながら説明を受けてください。
次に「芯」にどのような材料や技術が用いられるかを確認しましょう。
神経をとった歯はたいへんもろく、信じられないかもしれませんが本当に折れたり割れたりします
。
これは残った歯が薄くなっただけでなく、神経といっしょに血管もとってあるために水分の供給がなく、枯れ木が立っているのと同じような状態だからです。したがって補強のために芯を入れる行程はとても重要です。
旧来から芯材には金属が用いられてきました。しかし金属の芯はピッタリしたものを造る事が意外に難しく、また歯のような「しなり」が無いため、力をかけると歯を割ってしまう事が多々あり問題になっています。
そのような欠点を解消するためにコンポジットレジン(プラスチック)製の芯が開発され、中にグラスファイバーを補強材として入れる事により、歯が割れるトラブルを回避しやすくなっています。
しかしそのコンポジットレジンも「固まる時に縮む」という欠点があり、接着剤が剥がれるなどの問題があります。
芯材としては金属でもコンポジットレジンでもどちらでもかまわないので、それらの欠点を補ない、長い間使って行く事ができるような技術を持った歯科医院を選ぶ必要があります。
最後に実際に被さる白い歯の部分です。
材料はセラミックス系(*3)でもハイブリッドと呼ばれる新しいコンポジットレジンでも、お好みにあわせて決めてよいと思います。
もっとも大切なのは、ぴったりと合った冠を造るのにどのような技術が使われるかです。ここが保健診療と同じ技術であってはなりません。
具体的には「歯肉圧排」という技術で、歯肉の中の深い部分まで型取りされる事が重要です。
またその歯肉圧排の時に歯肉から出血してしまうような炎症が残っていてはいけません。ですから型取りの前に歯肉の治療をちゃんと行ってくれる歯科医院を選ぶ事がたいせつです。
なお歯肉圧排の様子や、それを行わなかったために結果が思わしくなかった例のリカバリーをこちらの動画
で解説しております。
また吉田歯科診療室で行う自由診療は次のQ&A:7
で詳しくご説明いたします。
*1 健康保険制度の影響で歯内治療の信頼性は日本では非常に低下してしまいました。それをあきらめてインプラント治療を積極的に行おうとする歯科医師が増えているのはそのためです。
*2 歯内治療による赤字を自由診療による収入で補填するシステムをとっている歯科医院が多いと予想されますが、そのような事を患者さんに告知されている事はあまりないと思われます。
*3 セラミックス系にはメタルボンドと呼ばれ金属の併用するものや、ジルコニアというとても固い材料を併用するものなど多数あります。

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