間違いだらけの自己流磨き
よくある間違い、ワースト3
歯磨きの習慣はほとんどの人が持っていると思いますが、正しい方法で磨いている人はほとんどいないというのが実感です。よくある間違いは以下の3種類に集約されます。
磨く時間は1分以内
最も多いのがこれで、決定的に時間が短いということです。
問診表を集計してみると、歯ブラシにかける時間が1分以内と極端に短い方は全体の3割、3分以内という方も4割はおられます。
もちろんただ時間をかければよいわけではないのですが、どこをどう磨いたらいいのかわからないため、結果的に磨く時間が短くなっていることも多いようです。
ガシャガシャ元気に横磨き
男性に多い間違いです。音だけ聞いているととてもよく磨けているような気がしますが、残念ながらこれでは四角い部屋を丸く掃いているのと同じで、肝心な所はまったく磨けていません。
例えば歯と歯の間には、毛先がジャンプしてまったく届きません。歯の頚の部分だけに擦過力(こすりつける力)が集中し、ハギシリと重なるとどんどん減っていきます。歯磨きに力やスピードは必要ありません。
見える所しか磨かない
前歯など見える所しか磨きません。話を進めると、「そんな所磨く必要あるの?」「見えないからいいじゃない」と言われるのはよくあることです。
磨き方を習ったことがありますか
具体的な話をする前に、私たちがどのように歯ブラシの方法をお教えしているのか、紙上公開します。
私たちの診療室では、歯の磨き方を習ったことがあるかどうかを最初に尋ねます。おおむね3割の方が「習ったことはない」とお答えでした。つまりその方法が良いのか悪いのかもわからず、ただ歯ブラシを動かしているだけの方です。
残りの7割の方は何らかの形で「習ったことがある」と答えています。いつどこで習ったかを聞くと、およそ半数の方が「小学生の頃教室で保健の先生に習った」、「会社の健康診断のときに簡単に習った」という答えでした。これらはただちょっと聞いただけにすぎず、習熟したわけではないので、実際には役立っていません。やはり良いのか悪いのかわからないまま過ごしてきたことになります。
残りの方は以前かかっていた歯科医院で聞いたと答え、いろいろな知識をお持ちです。しかしそれでもなお、きちんとできている方は少数です。
なぜこんなことになるのかというと、歯科医院に通っている時期はきちんと磨くのですが、治療が終わって通院しなくなると、たちまち自己流に逆戻りしてしまうのです。
目的意識がなく、歯を磨けと言われたからしかたなく磨いているという方に多いようです。歯の問題とは痛みを感じなければそれほど現実感が湧かないものなのでしょう。
何分かけて歯を磨きますか
歯磨きにかける時間がどれくらいかも尋ねます。「3分以内」と回答した方は、残念ながら教わった方法を正しく実行していないことになります。
もちろん時間をかければよいわけではないのですが、あれこれやっていると10分は必ずかかるでしょう。後述する方法できちんと磨くと誰もが10~15分かかるのが標準的なようです。
しかし10分磨いているのにプラークが全然落ちていない方も多く、そのような場合は同じ所ばかりずっと磨いているなど無駄な時間を費していることになります。
その一方で30分かける方もおられ、これはさすがに時間の無駄、そこまで神経質になることはありませ
ん。
以上のような話から入るとだいたい誰もが「そう言われてみれば、今までちゃんとやっていなかったなあ」と思います。具体的な説明はここから始まることになります。
下の表は、私たちが患者さんに最初に歯ブラシの話をするときに使うマニュアル「TBI初回のポイント」をもとに作った10カ条です(TBIとはTooth Brushing Instruction、歯ブラシ指導)。
今までの習慣とまったく違う点もあると思います。ぜひ参考にして ください。
1・歯ブラシで狙うのは歯間と歯周ポケット。歯を磨くというより、歯と歯肉を磨く
2・歯磨きは力でなくテクニック。力を入れてもきれいにならない
3・鏡を見てスタートポイントをチェック
4・臼歯舌側は歯ブラシの頚が前歯正中に来るように
5・最初は歯磨き剤をつけずに練習
6・きちんと磨けば10分はかかる
7・磨く順番を決め、磨き忘れがないように
8・歯ブラシは正しいものを。電動は不可
9・前歯舌側は歯ブラシを縦にして1本ずつ磨く
10・朝昼は短時間でもかまわないが、夜と来院前は磨ききる

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