インプラントのすべてがわかる本 簡単なインプラントは難しい

簡単なインプラントは難しい

以上のようにインプラント手術は、確かな診断の下に行われなくてはなりません。特に術中診断は最終的な骨の形や量を確認する重要なステップです。

しかしCT撮影などにより骨の幅が確実にあることが事前にわかっているケースでは、この術中診断を省略する場合があります。

CTによる下顎臼歯部の断面写真2枚を比較してみましょう。骨の形が大きく違うのがわかります。

CT1.jpgCT2.jpg
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左の写真は骨幅が充分にあるので、とても簡単な手術で終わる事ができます。

骨の上に見えるのが10mmのワイヤーで、このワイヤーを参照してインプラントを埋入しようと計画するのですが、その位置決めがしっかり行われていれば埋入時に粘膜を剥離する必要もなく、術後の痛みはほとんどありません。

一方右の写真は骨の断面形態は尖った形です。もしCTを撮影せず、歯肉を剥離しない簡単な方法でインプラントを埋入すると、インプラントは骨からはみ出て失敗の原因になります。

したがってこのケースはきちんと粘膜を剥離し、軽度の骨移植を併用する必要があります。骨幅があることがわかれば歯肉ははがさず直径 4mm 程度の小さな穴を開け、そこから顕微鏡にて骨の位置や高さを確認します。それで問題がないとわかれば、そこから骨にインプラント用の穴を形成していきます。

インプラントの直径は 4mm 前後ですので、歯肉にはインプラントが貫通する以外の傷がつきません。切開・剥離をしないので、痛みや腫れが少なく、患者さんの負担はそうとう軽減されます。

この方法は手術規模が小さく簡単そうですが、かなりの経験と診断力が要求されます。

どんなケースでも切開・剥離をせず、いきなりドリルで穴を形成していく方法をとる先生もおられるようです。しかしこれではまるで見当違いの所にインプラントが入る可能性があり、私はたいへん危険な治療と考えています。

事前にCT撮影をしていればよいのですが、簡略化が目的ならそれもなされません。そのような危険を犯してまでこの方法を選択する理由はありません。

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